My lovely person

06


「おい!テメェラよく聞け!今から征鷽と彪廷の報告会、およびパーティを始める。だが、その前に1人紹介しておく。征鷽に新たに1人
加わった越前リョーマだ。あいにくしゃべることができないそうだから読唇術が使えない奴は使える奴に通訳してもらえ。以上だ。」
ホールに跡部の声が響き、報告会という名のパーティが始まった。





「俺、向日岳人ってんだ!よろしくな!」
[・・・よろしく。]
「侑士、なんて言ってんだ?」
どうやら岳人という人物は読唇術が使えないらしく、隣にいた眼鏡をかけていて背の高い侑士という人物聞いていた。
「『よろしく』やて。俺は忍足侑士や。よろしくな。」
『・・・よろしく。』
侑士という人物は読唇術が使えるらしい。2人に話しかけられたリョーマは不二と菊丸の間にいて、少し警戒している様だった。
「そんなに警戒せんとってぇな。」
「君がなれなれしいからだよ、忍足。」
「うるさいわ。そんなことより、リョーマちゃんかわいいなぁ。」
[そんなことない・・・。]
「いーや、かわいいって。なぁ、岳人。」
「ああ、超かわいい!俺、こんなかわいい子いままでに見たことないぜ!」
「なぁ、俺と付き合わん?」
「侑士!ずりぃぞ!!」
[付き合う?何処に?]
「いやいや、そういう付き合うじゃなくてやね。恋人同士になろうって言ってんねんやけど。」
[えっ?!/////]
「「忍足・・・・・・・・・。ちょーっと話しようか・・・・。」」
その時、不二と菊丸から地の底から出たような声を聞いて忍足は返事をするしかなかった。
「・・・・はい。」
「話が見えねぇ・・・・。」
読唇術の使えない岳日は1人混乱するばかりだった。
「リョーマ、しばらく向こう行っててくれない?僕等はこいつと少し話しがあるから。」
[?ん。わかった。]
にっこり笑顔で不二に言われたリョーマは意味はわからなかったが、とりあえずその場を離れることにした。





不二と菊丸の元を離れたリョーマは1人キョロキョロと周りを見ながら歩いていると、階段で寝ている男を発見した。
(こんなとこで寝てたら風邪ひくよな・・・。)
そう思い、リョーマは男を起こすことにした。
(でも、声でないし・・・。どうしよう・・・。)
迷ったが、とりあえず揺すってみることにした。
(起きて〜。)
しかし、男は熟睡しているのか、なかなか目覚めない。
(なんで起きないの〜?)
今度は頬をパチパチと叩いてみた。でも、男は起きなかった。
(こんなけしても起きないなんて・・・。じゃあ、これで!)
バチンッ!
少し強めの平手を打つとさすがに男は起きた。リョーマはほっとして横になっている男の顔を覗きこんだ。
[おはよう。こんなとこで寝てると風邪ひくよ?]
とろあえず、一言一言区切って口を動かしてみたが、男はぼーっとしていて視線が合っていない。しばらく視線を彷徨わせていて、リョ
ーマの視線と合うと、ガバリと起き上がりリョーマを見詰めた。
[???]
リョーマはいきなりのことで混乱していると、
「か・・・・・・。」
[か?]
「かわE−!!!」
いきなり男はリョーマに抱きついた。
[っ!!!!!]
急なことでリョーマは心の中で声にならない声を上げ、パニックに陥った。しかし、その間にも男はリョーマを抱きしめハイテンションで
しゃべりだした。
「君誰?!俺、芥川滋郎!!ジローって呼んで!!君の名前は?!」
[えっ?!お、俺?俺は越前リョーマだけど・・・。]
「ああ!君、しゃべれないの?俺読唇術使えるからだいじょーぶ!!リョーマかぁ!!リョーマは征鷽??」
[うん、そーだよ。]
「征鷽かぁ。彪廷じゃないのが残念だけど、仲良くしてねー。俺、リョーマのこと気に入っちゃったからvvv」
[あ、ありがとう。ジローは彪廷の人だよね?]
「うわー、ジローって呼んでくれてありがとー!ちょーうれC−!!うん!俺は彪廷だよ!!」
[じゃあ、跡部さんってどんな人?]
「あとべぇ?あとべぇはねぇ、俺様だけどちゃんと裏付けされた実力がちゃんとあってー俺達の船長だよー。」
[ふーん。そうなんだ。]
「あっ!何々?跡部に興味あんの??やめときなよ、あんな俺様。」
[そ、そんなんじゃない!!/////]
「じゃあ、手塚?」
[えっ?なんで?]
「えー、なんとなくー。」
[そう・・・。でも、違うよ。]
「そう?」
[うん・・・。]
それきり、下を向いて考え込んでしまったリョーマをジローは不審に思い顔を覗き込んだ。
「リョーマ?どうしたの?」
[ううん。なんでもない。]
「・・・・・ねぇ、リョーマって・・・・・・。」
「「「「あ―――――――!!!」」」」
ジローがリョーマになにか言おうとしたとき誰かの叫び声が聞こえた。その声にリョーマはビクッとなって振り向こうとしたがジローに抱
きつかれていたので振り向くことができなかった。
「ジロー!なにしてんねん!!」
「そうだにゃ!今すぐリョーマを離せ!!」
「ずるいぞジロー!!」
「リョーマに変なことしないでくれる?」
「えー、別に変なことしてないC−。俺とリョーマは仲良しになったから別にいいんだもんねー。ねー、リョーマ。」
[えっ?そうなの?]
「そうだよー!」
「「「「そんなわけあるか!!」」」」
声をそろえる4人に(仲いいな・・・。)と思うリョーマだった。